「子供はみんなハンバーグが好き」と聞いた時に「その通り」と思う人もいれば「違う」と思う人もいるでしょう。「その通り」と思う人は一人ぐらいは嫌いな人がいると思うけれど、だいたいほとんどの人は好きだから「その通り」と思うし、「違う」と思う人は、一人でも嫌いな人がいれば「みんな」というのは「違う」と思うのでしょう。
数学では後者で考えるのが普通です、つまり「違う」と考えます。一人でも違ったら「子供はみんな」は違うと考えるのです。曖昧が嫌いなのです。
こういう表現は数学の問題文にはよく出てきます。本格的な数学の表現の場合「任意の(すべての)実数 x について・・・・」となることがよくあります。
数学はこんな感じではっきりさせていきます。特に2つに分ける考え方が好きです。例えば数を「偶数」と「奇数」に分けたり、「有理数」と「無理数」に分けます。物事を「合っているか」「間違っているか」の二つにはっきり分けます、それを数学では「真」「偽」と言います。「合っていること」を「真」、「間違っていること」を「偽」と言います。
数学で「矛盾」とは、二つに分けたことが同時に成り立つ時のことを言います。例えば「xは偶数でもあり、奇数でもある」というような事です。偶数と奇数は別物なので、両方であるということはありえないのです。
以前、テレビである人が「正確ではないけれど、デタラメでもない」と言ったら、その場にいた理系の大学教授が「正確じゃないことをデタラメと言うんだろう」とツッコミを入れていました。
世の中はどちらかというと曖昧なことの方が多いです。誰にでも好きな食べ物と嫌いな食べ物があると思いますが、ほとんどの食べ物は好きでも嫌いでもないと思います。すべての食べ物を好きと嫌いに分けて、はっきりさせていったら、人と好みが合わなくなって、ギスギスしてしまいそうです。
はっきりさせるのは数学だけにしておきましょう。